暗闇における視認性とスイスの先端技術
暗闇の中で時計を発光させる方法は、時計産
業において多くの研究が重ねられてきました。
第一次大戦以降最も一般的に行われてきたの
が、文字盤と針に自発光の蛍光物質(最初はラ
ジウム、後にトリチウムを利用)を塗布する方法
です。しかし、時計メーカーはこれに満足して
いたわけではありません。
ボール ウォッチは25年の研究開発を経て、現代の最高峰の技術に数
えられるスイスの革新的なレーザー技術を導入しました。その成果がトリ
チウムとして知られる自発光のマイクロ・ガスライトです。これは、どのよう
な過酷な状況でも、暗闇のもとで時計に抜群の視認性をもたらします。
その明るさは、トリチウムを基材に用いた蛍光塗料の100倍(日本仕様モ
デルは70倍)にも達します。
トリチウムは電池も使わなければ、光に露して蓄光したり、あるいは発光の
ためにボタンを押す必要もなく、10年以上にわたって発光が持続します。
これによって明るい日中でも、暗い夜でも周囲に目が慣れるのを待たず
に、素早くしかも安全に情報を読み取ることができます。
スイスの先端技術によって誕生したマイクロ・ガスライトは、ミネラルガラ
ス・チューブにトリチウムを純粋なガスの状態で封じ込め、この物質を非
常に安定した状態で安全に用いています。
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マイクロ・ガスライト
インデックス形に
カットされた、マイ
クロ・ガスライト用
スペース
マイクロ・ガスライト
文字盤や針に組み込まれるマイクロ・ガスライト
チューブの内壁は蛍光物質でコーティングされており、これにトリチウム
から発する電子が作用すると、光を放ちます。この発光の原理は、電子
をスクリーンに照射して映像を作り出すテレビのブラウン管と同じです。
小さく精密で軽量なこのトリチウムを、現在ではCO2レーザーを利用し
て生産することができます。
針や文字盤への取り付けも、破損の危険を冒さずに行う方法が確立され
ています。したがって、腕時計を着けても、トリチウムに直接触れることが
なく、放射線にさらされる心配もありません。マイクロ・ガスライトの輝度は、
年数の経過とともに徐々に低下いたしますが、文字盤と針の一式を交換
することで輝度を回復することができます。
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マイクロ・ガスライ
トを針に組み込む
ためのスペース