付録B:正しい探知電圧の算出
Elcometer 266には、電圧の⾃動計算機能が内蔵されています。これは、
準拠する規格と検査対象の塗膜の厚さに基づいて、正しい探知電圧を
設定する機能です。詳しくは、jp-17ページのセクション9.1「電圧の
⾃動設定」を参照してください。
または、探知電圧を⼿動で設定することもできます。詳しくは、
jp-18ページのセクション9.2「電圧の⼿動設定」を参照してくださ
い。この場合は、以下の説明に従って、安全で効率よく検査できる電
圧を算出します。
概要
検査を正しく実施するには、探知電圧の上限と下限を決める必要があ
ります。
上限は、塗膜⾃体の絶縁状態が破られ、塗膜が損傷する電圧の値
です。したがって、探知電圧は、この値より低くなければなりま
せん。
下限は、塗膜と同じ厚さの空気の層の絶縁状態が破られる電圧の
値です。出⼒電圧がこの値より⼤きくないと、塗膜の⽋陥が検出
されません。
この上限と下限を算出して、そのほぼ中間の値を探知電圧に設定しま
す。
絶縁破壊強度
どのような物質でも、⼗分⾼い電圧をかけると、電気を通すようにな
ります。しかし、塗料などの絶縁体に電流を流すには⾮常に⾼い電圧
が必要で、通常、不可逆的な物理的損害が起こります。
物質が破壊されるときの電圧のことを絶縁破壊電圧といいます。この
電圧の値を物質の厚さで割ったものを絶縁破壊強度といい、kV/mm単
位で表します。
この値は、物質にかける電圧の種類(交流、直流、パルス)、温度、
厚さによって異なります。jp-39ページのグラフは、絶縁破壊電圧(直
流)と、異なる絶縁破壊強度をもつ塗膜の厚さの関係を⽰していま
す。
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jp-38