あることは確かです。この付録のセクション2.A「金属について」で説明したよう
に、衝撃に対するカーボンと金属の反応は大きく異なります。カーボンフレームの
強度が金属フレームの2倍であっても、限度を超えた負荷がかかると、曲がらずに
完全に折れてしまいます。
複合素材のフレーム、フォーク、コンポーネントの点検
亀裂
亀裂、折れ、裂け目がないか点検します。亀裂はどんなものであれ重大な問題
です。大小にかかわらず亀裂の見つかったバイクやコンポーネントは使用しないで
ください。
剥離
層の剥離は重大なダメージです。複合素材は何層もの繊維でできています。剥
離は繊維の層に接着力がなくなったしるしですから、剥離の見られるバイクやコン
ポーネントは使用しないでください。剥離の兆候には次のようなものがあります。
1. 剥離した部分はくすんでいるか、白っぽくなっており、ダメージを受けてい
ない部分とは違って見えます。ダメージのない部分は艶があり輝いていて、透明
な液体を覗き込んだときのように「深さ」を感じます。剥離した部分は不透明で
くすんでいます。
2. 剥離した部分には隆起やゆがみが見られます。層が剥がれると、表面の形状
が変化することもあります。突起や隆起、柔らかい部分ができ、滑らかで均一で
はなくなります。
3. 表面をたたくと、剥離した部分だけ音が違っています。ダメージを受けてい
ない複合素材の表面をたたくと、均一な音がします。一般的にははっきりとした
鋭い音です。それに対して、層の剥がれた部分をたたくと鈍い音がします。
異常音
亀裂や剥離があると、走行中にきしみ音のすることがあります。そのような音
は重大な警告シグナルだと思ってください。手入れの行き届いたバイクはとても静
かで、きしみ音やこすれ音はしません。音の出ている箇所を突き止めてください。
異常音の原因が亀裂や剥離以外の場合もありますが、原因が何であれ、乗る前に必
ず点検してください。
警告:剥離や亀裂のあるバイク、コンポーネントは使用しないでください。
フレーム、フォーク、その他のコンポーネントに剥離や亀裂のあるまま使用
すると、完全に破損し、重傷や死亡事故につながるおそれがあります。
綿密に点検するために、コンポーネントを取り外し、分解する場合がたびたび
あります。このような作業は、高機能で高性能な現代のバイクとコンポーネント
の点検・保守に必要な工具、技術、経験を有する専門のバイクメカニックが行い
ます。
アフターマーケットの「超軽量」コンポーネント
先に示した乗り方や傾向をご自身に照らし合わせてみてください。「製品寿命
を縮める要因」に当てはまるものが多ければ、超軽量のコンポーネントを使用する
のは考え直すべきでしょう。逆に「製品寿命を延ばす要因」に当てはまるものが多
いほど、軽量のコンポーネントの使用が適していることになります。販売店に相談
し、お客様自身のニーズと乗り方や傾向を率直に検討してください。
超軽量コンポーネントを選ぶかどうかは重要な問題です。コンポーネントの変
C.コンポーネントについて
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